睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea
syndrome)とは、眠っている間に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)が繰り返される病気です。いびきや不眠、夜間睡眠中に何度も目が覚める(夜間の中途覚醒)、起床時の頭痛などの症状があります。また日中の眠気や倦怠感、集中力の低下などを引き起こし、社会生活にも影響を及ぼすようになります。
睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病や肥満を合併することが多く、治療をせずに放置していると、高血圧や心臓循環障害、脳循環障害などを招くリスクが高くなります。また日中の眠気のため、居眠り運転による事故の発生率を高めたりするなど、生命に危険が及ぶ場合もあります。
このため早期に適切な治療をすることが大切です。
睡眠時無呼吸症候群には、大きく分けて2つあります。
閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)
空気の通り道である気道が、物理的に狭くなり、呼吸が止まってしまうタイプで、多くの場合がこのタイプとなります。
主な原因として、①肥満、②あごが小さい・後退している、③首が短い、④扁桃腺が大きい、⑤アレルギー(鼻炎、蓄のう症、花粉症、鼻中隔湾曲)などがあります。
中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)
脳から呼吸指令が出なくなる呼吸中枢の異常によるもので、このタイプは数%程度です。
検査
当院では、ご自宅でできる睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を行っております。
お貸出しする専用機器を使っていただき、睡眠時の呼吸の状態や心拍数、酸素飽和度などを機械で記録し、そのデータを解析いたします。
検査結果はAHI(Apnea Hypopnea Index / 無呼吸低呼吸指数)として示されます。これは、1時間当たりの無呼吸や低呼吸の平均回数となります。
診断
簡易検査にてAHIが40以上の場合、治療の対象となります。
AHIが40未満かつ睡眠時無呼吸症候群が疑わしいと医師が認めた場合、脳波や眼球運動などを含めた精密検査(PSG検査 /
ポリソムノグラフィ検査)を行います(精密検査は当院から検査可能な医療機関をご紹介いたします)。
精密検査にてAHIが20以上の場合、治療の適応となります。
治療
睡眠時無呼吸症候群はCPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure / 経鼻的持続腸圧呼吸療法)が主な治療方法となります。
睡眠時に鼻マスクを装着し、小型の機械から一定の圧力をかけた空気を送ることで狭くなった気道を広げ、無呼吸を防ぎます。
治療のほか、予防として睡眠時無呼吸症候群にならないために、適正体重の維持・禁煙・節酒・鼻症状の改善・口呼吸から鼻呼吸にするなど生活習慣の改善を日頃から意識して生活することも大切です。